バックバンドと聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?一流じゃない人たちが務める仕事?それとも技術はあるけど芸術的表現力はないミュージシャン?いいえ、実はそうじゃないんです。
バックバンドは、実力も才能もあるミュージシャンが何らかの理由で、しかもそれは大概「運」というものの欠如によって、ただそれだけの理由で務めている場合が多いのです。だからそんなミュージシャンにその運が舞い降りたら、そこから一気にメジャーアーティストとしての道が開けたりするのです。
ここではそんな実例を紹介して行きたいと思います。
ザ・バンド
あの有名な音楽情報誌「ローリング・ストーン」誌が選んだ「歴史上最も偉大な100組のグループ」において、第50位に選ばれたロック・バンドがこの「ザ・バンド」です。2008年年にはグラミー賞でLifetime Achievement賞も受賞しています。
1968年デビューのバンドなので、今時の音楽ファンは余り馴染みがないのも仕方がないことかも知れませんが、しかしこの偉大なバンドも、実は有名アーティストのバック・バンドを務めていたことがありました。
そのアーティストの名は「ボブ・ディラン」。そうです、あの史上最も有名で偉大なアメリカのシンガーソングライターです。
2016年には歌手として初めてノーベル文学賞を受賞したことで、若い音楽ファンにもよく知られた存在かと思われます。ボブ・ディランがフォークシンガーとしての枠を越え、ロックという音楽をも包括しようと音楽性の幅を広げた時期に、その手助けをした、と言っていいのがザ・バンドの面々だったのです。
その後、その実力が認められメジャーデビューすることになったザ・バンドは、映画「イージーライダー」でその曲が使用され、大衆の注目を浴びるようになり、偉大なロックバンドへの道を進んでいくのです。
バッド・フィンガー
ビートルズという余りにも大きな光の中に埋もれてしまったバンド。「バッド・フィンガー」にそういうイメージを持っているロックファンも多いかも知れません。
バンドがバラバラになりつつあったビートルズの、その各々のメンバーのソロ活動を支えるバックバンドとしての活動を行いながら、バッド・フィンガーはバンドとしての知名度を徐々に上げ、1971年にはシングル「Day After Day」が米国チャートで最高4位を記録。既に解散していたビートルズの後継者としての道を歩み始めたかに見えました。
しかしその後大きなヒットシングルに恵まれず、所属レコード会社の問題なども発生。メンバーの不幸もあり、時代の中に消えて行ってしまうことになりました。